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講演会「コンクリート構造物の劣化と対策」

(徳島大学技術士会第2回年次大会記念講演)

    

講師: 上田隆雄氏〔徳島大学理工学部教授〕技術士(建設部門)

日時: 2024年5月12日(日) 14:55~ 16:10

場所:徳島大学工業会館メモリアルホール+WebWeb

1.自己紹介

1993年に京都大学工学部土木工学科を卒業し、1995年京都大学大学院工学研究科土木工学専攻修士課程を修了。徳島大学へは1996年から教員として赴任し、2002年徳島大学工学部建設工学科助教授、現在は徳島大学理工学部教授をされている。2002年に技術士(建設部門)を取得している。技術士を取得したきっかけは、2002年までの技術士試験が一次試験免除で二次試験を受験できたということがきっかけで、技術士を取得した。

技術士資格を使っての仕事は無いが、大学院生から技術士補になりたいという希望が出た時に、指導技術士になっている。

2.コンクリート構造物の劣化

日本最古のRC橋は京都市にある琵琶湖疎水橋であり、1903年(明治36年)に造られている。日本最古のPC橋は石川県七尾市にある長生橋であり、1951年(昭和26年)に造られたが、平成13年に撤去されている。このように、鉄筋コンクリート造の橋は古くから作られているが、それらの橋ではコンクリートの中性化は認められなかった。木造構造物は50年もつと言われ、コンクリート構造物はそれ以上と思われるが、厳しい環境下では10年でも劣化する。原因は施工不良、材料の不適切、厳しい環境、過大な荷重がある。環境劣化の中には塩害劣化がある。コンクリートのクラック等から塩化物イオンが侵入し、鉄筋を錆びさせる。ASR(アルカリシリカ反応)により、鉄筋が破断することもある。又、凍結作用はコンクリートの中に水が入り込み、氷の膨張によりコンクリートが剥離する。

3.コンクリート構造物の劣化対策

塩害とASRの複合劣化は,温度依存性があり,温度が高いとASRが優先して進行するため,劣化の初期では鋼材腐食が抑制される。凍害と塩害の複合劣化に関しては、シラン系含浸材を塗布することにより,スケーリングが抑制される場合が多い。

塩害とASRの複合劣化に対しては、亜硝酸リチウムを添加した補修材を用いた断面補修工法や,リチウム系電解液を用いた電気化学的補修などが効果的である。

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