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講演会「バイオテクノロジーと変わりゆく食環境」
(徳島大学技術士会第4回講演会)
講師: 堤 浩子氏(技術士 生物工学部門)
〔月桂冠㈱醸造部生産技術課課長〕
日時: 2024年2月3 日(土) 15:35~ 16:45
場所:徳島県関西本部会議室+Web
1.自己紹介
徳島生まれ。京都の酒造メーカーの月桂冠に勤務し、日本酒造りやその副産物が持つ機能性の研究にも携わっている。最近は社内の若手に酒造りの実習教育もしている。
2.月桂冠株式会社
月桂冠株式会社は京都市伏見区の酒造メーカーであり、製品は酒造が90%であり、最近はノンアルコール日本酒も製造している。
1673年に創業し、海外進出もし、アメリカにも製造所がある。アメリカの製造所では現地のコメと水(伏見に近い硬度の水が取れる場所に工場を建てた)で製造している。
3.我が国の食生活
1965年では日本人は1日にご飯を5杯、肉を1回食べていたが2007年では1日にご飯を3杯、肉を
3回食べ、油摂取量も3倍になり、食生活が変わってきている。おまけに食材は輸入に頼ってお
り、食糧自給率は40%ほどである。
農林水産省では食料自給率を45%まで引き上げようという目標を掲げているが、そこで役立
つのは農作物の品種改良である。
イネ、ダイズ、トウモロコシは遺伝子が変化し、より大粒のものが取れるようになっている。
スーパーで売っている野菜は自然種のものはなく、品種改良されたものである。
4.バイオテクノロジー
オールドバイオテクノロジーとしては発酵、醸造等がある。海外の人はカビを食べるのを嫌がる
が、日本のカビ(コウジ)は安全性が高い。又、酒造りに適している山田錦は普通のイネより大き
く育ち、粒も大きい。育種に80年かかった。
ニューバイオテクノロジーとしては、遺伝子組み換え、ゲノム編集などがある。
例えば、ダイズ、ジャガイモ、トウモロコシ、ワタ、テンサイ、アルファルファは除草剤で枯れ
ない様、遺伝子組み換えが行われている。
ゲノム編集技術はDNAの一部切り取り、一部置き換え等により行われる。
海外では遺伝子組み換え技術は多く使われており、アメリカが多い。
遺伝子組み換えの影響であるが、若い人ほど遺伝子組み換え食品に関して抵抗があるという調
査結果が上がっている。
遺伝子組み換えのメリットは、生産が早い、生産量増、農薬の削減が主に上げられる。
遺伝子操作のデメリットはアレルギーの原因になる可能性、食の安全性が実証されていない、
生物多様性等に環境への影響を問われている。