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講演会「LED植物工場を用いた研究と今後の可能性について」
(徳島大学技術士会第6回講演会)
講師: 宮脇克行氏〔徳島大学バイオイノベーション研究所 准教授〕
日時: 2025年2月1 日(土) 14:05~ 15:25
場所:徳島県関西本部会議室+Web
1.自己紹介
徳島生まれ。2004年に徳島大学大学院工学研究科機能システム工学専攻博士課程修了後に徳島大学へ教員として就任。現在、主に生物資源産業学部石井キャンパス農場に勤務。農場ではスダチ、農場米が生産される。新野マルシェ、藍葉のたたき染め、阿南中学のハイテク体験講座も手掛けている。趣味はボウリング好きで、徳島マラソンではフルマラソンに参加している。
2.LED植物工場を活用した高度な作物生産システム
近年、野菜をLEDで栽培する植物工場が注目されている。人工光のLEDを使えば光の組み合わせで植物の成長に良い光を作ることもできる。人工光でタデアイ、ダイズ、レタス、イチゴ、サツマイモ、スイカを育てる研究をしているが、スイカの実は甘くなかった(笑)。
現在は、タデアイを植物工場で栽培する研究をしている。タデアイは多段式の水耕栽培をしており、照明はLED照明を使っている。タデアイの葉には染料色素やアトピーに効く成分の前駆物質であるインジカンが含まれているが、青色LED下で育てるとそのインジカン含有量は1.5倍になった。
フードテック(フード×テクノロジー)の市場予測はこれから30年で10倍になるといわれているが、そのテクノロジの一つが植物工場である。例えば、レタスを青LEDと赤LEDをそれぞれ12時間ずつ交互に照射するという光照射プログラムで育てると成長速度が2倍になること、白色LEDを1kHzのパルス照射で行うと消費電力量を抑えて同じ大きさに育つという先行研究から、植物工場は自然界に無い、植物が育ちやすい環境を新たにつくり出すことができる可能性があり、将来的に人類が宇宙に住むという研究がなされている中で植物工場はその宇宙での食糧確保の解決策としても大いに期待されている。
3.イチゴの植物工場
イチゴについても栽培を試みている。我々が味わって食べているイチゴは、実ではなく花托(かたく)であり、粒々の部分が全てめしべで、200本ぐらいある。花托を大きくするためには、すべてのめしべに花粉を受粉させる必要がある。一般的に、いちごの受粉にはミツバチやマルハナバチが利用されているが、植物工場では、①超音波(ぶるぶるくん)で受粉。②受粉ロボットを飛ばす。③単為結果(ゲノム編集)という新しい方法が考えられているが、課題はまだまだ有る。