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講演会「水に関する楽しい話:その魅力と驚きのエピソード」

(徳島大学技術士会第6回講演会)

    

講師: 京都大学防災研究所 特任教授 和田 桂子技術士(建設部門)〕

日時: 2025年2月1 日(土) 15:25~ 16:50

場所:徳島県関西本部会議室+Web

1.自己紹介

 現在、京都大学防災研究所の特任教授である。立命館大学理工学部で講師もしており、近畿建設協会、琵琶湖・淀川水質保全機構琵琶湖・淀川水質浄化研究所にも所属する。専門は水環境で、湖沼の水質汚濁、路面排水、グリーンインフラ、流域治水等の研究に取組んでいる。趣味は旅行と音楽、学生時代はギター・マンドリン部に所属していた。

2.水環境と水資源

地球上に存在する水の量は約14億 km3で、河川湖沼はわずかその0.01%に過ぎない。

日本は水道水が飲めるが、水道水が飲める国は日本を含む11か国である。

3.水に関する法律等

 琵琶湖は日本一大きい淡水湖で、琵琶湖大橋を境に北湖と南湖と呼ばれている。北湖の平均水深は43 mあるが、南湖は4 mである。琵琶湖基準水位 (B.S.L=0 m) は大阪城のてっぺんと等しく、琵琶湖は流域の中で高い場所にある。琵琶湖の水質は、公害の時代から、水質汚濁防止法、水質汚濁防止法に基づく上乗せ条例、琵琶湖総合開発特別措置法等、複数の法律や条例等により改善され守られている。滋賀県の下水道整備率は1998年以降全国平均を上回った。琵琶湖の水質モニタリング体制は充実しており、水質が監視されている。

4.琵琶湖の水環境と底層酸素

 全層循環が起こらないと底層部への酸素供給が絶たれ、水環境への影響が懸念される。底層の酸素が不足すると底泥から栄養塩類が溶出し、植物プランクトンの大増殖によるアオコが発生する。酸素供給は、栄養塩の溶出を抑制しアオコ発生を防止する。アオコだけでなく、以前は淡水赤潮も大発生したことがある。琵琶湖の透明度は上がったが、南湖は底層に光が届くことで、夏季に沈水植物が繁茂している。外来種生物 (魚類や植物等) も琵琶湖や湖岸周辺で問題となっている。

5.流域を俯瞰的に見る

 琵琶湖の周りには約400本の河川 (1級河川117本) があり、降水はすべて琵琶湖へ流れ込んでくる。しかし、琵琶湖の水が出ていくのは瀬田川のみである。そのため、一度水質が汚れると改善するためには長期間かかる。琵琶湖・淀川の流域面積は8240 km2であり、流域給水人口は1450万人。琵琶湖は貴重な水資源であり、琵琶湖の水質保全は重要である。

2000年を境に生活様式に変化があり、水を使う時代から節水型の衛生器具が使われるようになった。前後約20年間の水質、土地利用、社会構造等のデータから流域全体を俯瞰すると、都市化の進展によって人口が増加した地域がある。一般的に人口が増加すると水質は悪化するが、下水道が整備された地域ではBOD濃度は悪化しなかった。最近の夏季最高水温は上昇気味だが要因は複雑である。流域全体は河川湖沼等の水を通じて繋がっており、流域全体をみて考えることが重要である。

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