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講演会:「循環型資源としての食用コオロギの可能性」

      (徳島大学技術士会第1回講演会)

 

日 時:2022年9月10日(土)14:05~15:15

場 所:徳島県大阪事務所+オンライン(Zoom)

講 師:渡邉 崇人 博士

              株式会社グリラス代表取締役CEO

             国立大学法人徳島大学バイオイノベーション研究所・講師

1.なぜ今『昆虫』が注目されているのか?

 国際連合食糧農業機関FAO2013報告書では、従来の食品(家畜等)の収穫は困難となり食用昆虫が有望であることが示されている。

 大正時代、イナゴは国民の50%以上、55種類の昆虫を食べていた。昆虫食関連のグローバルマーケットとしては現在、数百社以上あり2030年には1.2兆円産業となると予想されている。世界人口は急速に増え2050年には約100億人となり中でもタンパク質が足りなくなる。牛・豚・ニワトリは環境コストが高く持続可能ではない。

2.なぜ『コオロギ』なのか?

 フタホシコオロギをモデル生物としメカニズムの解明をしてきた。

 コオロギは飼育しやすく発育も早くサイズも大きく雑食であるためエサに困らない。食品ロスを活用した循環型生産ができることが利点である。

      【1Kgの体重増加に】

       必要な飼料      ⇒ コオロギ:1.7Kg、牛: 10.0kg

       必要な水資源     ⇒ コオロギ: 4L、牛:22,000L

       排出する温室効果ガス ⇒ コオロギ: 100g、牛: 2,800g

3.コオロギを利用するための研究開発とは?

 高効率化によるコスト低減(革新的コオロギ生産技術の構築・自動化)、事業性の確保(社会受容性の向上・機能性)、持続可能性の向上(食品残渣での飼育技術の確立・安全性)が必要である。飼育システムの開発によりコスト削減し、ゲノム編集による品質改良もしている。

4.食用コオロギのビジネスは?

 有望な食用コオロギを社会実装するには「自分」がやらなければならないと思い、2019年5月9日に徳島大学発ベンチャー、(株)グリラスを立ち上げコオロギビジネスを始めた。各領域に精通したメンバーをそろえ現在約50名となっている。徳島県美馬市の廃校(芝坂小学校)を食用コオロギ生産拠点・コオロギファームとし、繁殖⇒収穫⇒加工とワンストップで運用している。2020年5月に無印良品とコラボしコオロギせんべいを発売した。2021年、自社商品としてC.TRIAクッキー、クランチを発売し、日経優秀製品サービス賞・日経産業新聞賞を受賞した。プロテインバーやクッキーの小売店への展開を進めており、6月~ファミマの一部で先行販売中。

 食用コオロギが「あたりまえの選択肢」となる社会を作り、テクノロジーを核としたコオロギの総合メーカーに!を実現したい。

 興味ある方はぜひご一報を!

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