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講演会「人工重力施設研究~恒久的な宇宙進出のために~」

(徳島大学技術士会第3回講演会 講演2)

    

講師: 大野琢也氏(鹿島建設㈱イノベーション推進室宇宙分野担当部長) 

日時: 2023年9月9 日(土) 15:35~ 16:45

場所:徳島県関西本部会議室+Web

1.自己紹介

 1991年神戸大学工学部建築学科卒業。1993年神戸大学大学院工学研究科建築学専攻修士。1993年鹿島建設入社、設計・エンジニアリング総事業本部。1997年より関西支店建築設計部。2020年より京都大学大学院総合生存学館非常勤講師。子供のころより宇宙居住に興味持ち、基礎として建築設計を学ぶ。

一級建築士。

2.宇宙をつくる

 鹿島では月面で自動施工をするという研究をJAXAと共同で行っている。その一環で、1000㎞離れたところでの自動化施工実験が成功している。

人間は重力がないと健康被害があり、地球を離れて永久に住むとしても子孫を増やすことすらできなくなる。月に住むにも地球並みの重力が必要で、京都大学との共同研究で人工重力プロジェクトを立ち上げた。

3.月でくらす

 アニメーション等で巨大なスペースコロニーが出てくるが、現在考えているのはもっと現実的な月面等での小さめのコロニーである。

月の直径は地球の4分の1であり、重力は6分の1である。月面等でグラス状の施設を回転することにより疑似重力を得る。この月面上の人工重力施設をルナグラスと名付け、20秒で1回転させることにより、天体の重力との合力として1Gを得ることができる。ルナグラス内にいる人が回転により違和感をもたないのが1周20秒と言われる。又、ルナグラスの中では水系施設も作り、地球上と同じ環境で過ごせる状態にする。

無重力下での長期間の生活を避けるため、人工重力を利用して惑星間を移動するヘキサトラックも京都大学山敷教授が発案している。

4.未来をつくる

 月面は大気が無いので隕石、宇宙線にさらされ過酷な環境である。最近、月面に溶岩孔が発見され、溶岩チューブの中に住むことが注目を浴びている。溶岩孔内にルナグラスを作る構想もある。    

これから宇宙に行く時代になるが、宇宙に行くことを志していった人(第一世代)はそれなりの覚悟を持って行っているが、第二世代、第三世代(宇宙で生まれ育った人)が果たして宇宙環境その他、地球外の環境を受け入れられるかという問題も起こるかもしれない。その人達も地球へ帰れる体を維持するための人工重力施設研究である。

現在世界中で宇宙進出の計画は、UZUME計画等、着々と進んでいる。

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